第2回ワールドカップのレポート(その2)
世界チャンピオンとの対戦
  今回の大会で、日本代表はこれまでにない多くの勝ち数を獲得しました。
しかし、オープンシングルスでは8勝をあげたものの男子シングルスでは1勝もすることができず、世界の壁はなお厚いことが分かります。そんな中、女子ダブルスでは日本チームがインドのチームと2回戦で対戦し、5点をもぎ取るという快挙を成し遂げました。インドチームの2人は世界大会の常連で、常に1〜2位を争っているニルマラさんとラシュミさん。結果的には、インドチームが25対5で勝利しましたが、観戦していた各国のプレーヤーからは、善戦した日本チームに対して温かい拍手が贈られました。男子シングルスでは、JCFのS会長が、インドの強豪パルデシさんと対戦。最後の1点を争う試合運びで相手を苦しめました。パルデシさんは、この後も男子シングルスで勝ち進み、みごと優勝しました。S会長はアメリカチームの友人から、「君は強くなった」とほめられ、まんざらでもない様子です。


ルールについて
 数ある国際大会でも、すべての試合に審判がつくのはインドで行われ大会だけです。それだけインドには審判資格を持った人が多く、またプレーヤーも多いということなのです。インド以外の国で行われる国際大会では、準決勝と決勝くらいしか審判はつきません。ところが今回の大会では、ルールブックに載っていない細かなルールが幾つか適用され、各国のプレーヤーをとまどわせました。南アジアの大会では、たぶん常識となっているルールなのでしょうが、日本や欧米のプレーヤーは、「こんなルールあった?」とアイコンタクトをとることもしばしばでした。審判資格を持っている欧米のプレーヤーでさえ首を傾げてしまうようなことも。しかし、今後の国際大会では、このルールが適用されることも考えられるため、ひと通りは覚えておいた方がよさそうです。
女子ダブルス決勝 オープンシングルス決勝
ティーブレーク 朝のヨガ・セッション

初顔合わせの国々
オランダ、ネパール、アラブ首長国連邦、バングラデシュのプレーヤーとは、初めて会いました。初日、開会式の前に国別の写真撮影が行われたのですが、ひととおり撮影が終わった後、ネパールチームから、一緒に記念写真を撮ろうという申し出がありました。ネパールと日本は国際的な交流が盛んなので、親しみを感じてくれたのかもしれません。ネパールのプレーヤーは、男女とも20代の若者ばかりでした。
 ネパールはインドと同じようにキャロムの盛んな国ですが、これまで大きな国際大会には参加していませんでした。ネパール独自のボードやルールがICFのものとは大きく異なっていたというのがその理由で、ネパールではICFルールのキャロムはほとんど知られていなかったそうです。今回、大会に参加したのは、ネパールへ転勤したインド人がICFのキャロムを紹介し、医大の学生を集めて連盟を結成したからでした。
 ネパールはまだ始めたばかりですが、インド人のコーチを招いているので、次の国際大会にはかなりの力をつけてやってくるはずです。ネパールの代表からは、日韓戦にネパールを加えて3か国のテストマッチにしたいという要請もありました。実現は簡単ではなさそうですが、いつかできる日がくるといいと思います。

会場・ホテル
 試合会場で、今回の宿泊施設でもあったホテル「チボリ・ガーデン・リゾート」は、中1階と半地下という構造の、2階建てのホテルです。名前のとおり建物の内外には手入れの行き届いた庭が広がっていました。ホテルの本館はプレーヤーと役員が、ガーデンの脇にある列車式の建物には審判とスタッフが宿泊し、ホテル全体が大会のための貸し切りとなっています。大きな風呂とシャワールームを備えた客室は広く、従業員の教育も行き届いていて快適なホテルライフでした。
朝食とランチはレストランで ディナーはガーデンで
ロビー 結婚式をのぞき見

  朝食とランチはホテル内のレストランに用意されました。バイキング形式で、好きなものを自由にとって食べます。プレーヤーの数が多く、レストランとその外のプールサイドの席を利用しても全プレーヤーが一度に食べることはできないため、時間をずらして入れ替わりで食事をしました。
 ディナーは毎晩、きれいにテーブルとイスが並んだ中庭で食べました。試合の進行がどうしても遅れるので、夕食は22時をまわってしまうこともしばしば。さすがにインドでも、この時間になるとフリースが必要になるほど気温が下がります。

 乾期の11月から2月頃がインドのベストシーズン、この時期、数多くの結婚式が執り行われます。宿泊していたホテルでも、ガーデンで毎晩、結婚式が開かれていました。ディスコパーティーのような披露宴も行われています。花火はインドの結婚式にはつきもののようで、花火を楽しみながらのディナーとなった日もありました。

ピエールに会った
 今年の第10回ユーロカップで彗星のように現れ優勝したピエールと、準優勝のスティーブに会うことができました。ピエールは若いハンサムなフランス人。まるで「金色のストライカー」に登場する人物のような美青年です。旧知のフランスの会長に紹介してもらい、さっそく記念写真をとりました。
 ピエールは、夕食が終わるとボーリングのピンのようなクラブを使って、器用にジャグリングをこなします。きっと動体視力に優れ、運動能力の高い人なのでしょう。

アランに会えた
 この人、アラン・デシュパンデは、キャロムの戦略についての本やDVDを出している世界的に有名なコーチです。ヨーロッパの国々が急速に力をつけたのも、アランのもとで研修を受たり、アランを招いて指導を受けたりしていることが大きな理由です。
 以前からアランに会いたいと思っていましたが、今回、インドチームのコーチとして参加している彼に会い、話をすることができました。

 アランは、自宅にプレーヤーを宿泊させての個人指導を行っています。指導料は5日間コースで約4万円とのことした。韓国キャロム連盟の会長も、アランのもとで修行した1人です。

日本の実力と今後の展望
 今回の大会で使用されたシンコ社のキャロムボードは、ダイヤモンド社やスルコ社のボードと大きな違いはなく、日本のプレーヤーにはメリットとなりました。ただ、パウダーは化学系のボリック(ホウ酸)で、普段、ポテトスターチを使用している日本や欧米のプレーヤーにとっては、かなり不利な条件となりました。しかし、どんな条件でも、基本技術がしっかりしていれば勝つことはできるのです。ストレート狙いでポケットにコインを落とすだけでは、いまや世界で勝つことはできません。ストライカーでコインをポケットに落とすのと同時に、相手のコインを相手の打ちにくい場所へ弾き飛ばすといったインド流のテクニックが求められています。ようやく世界の壁が見えてきた国際大会でしたが、私たちがこの壁を乗り越えるには、インド流のキャロムを取り入れる必要があると強く感じました。
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